グリーン·ノウの煙突

グリーン・ノウ物語〈2〉グリーン・ノウの煙突 (児童図書館・文学の部屋)

グリーン・ノウ物語〈2〉グリーン・ノウの煙突 (児童図書館・文学の部屋)

前作の「子どもたち」では昔の子どもたちは子どものうちにペストで死んでしまった人たちで、彼らがトービーとおばあさんのいる現在に現れるようだったけど、今回の「煙突」はちょっとそこが違う。
スーザンもジェイコブも成人してそれぞれ幸せな家庭を築いたことが後の方でおばあさんによって教えられるから、彼が子どものうちに死んだのではないことが分かる。何よりも不思議なのはトービーが彼らの時間に入っていったこと。不思議な屋敷の中では時間が直線的に流れているわけではないんだね。時間が蛇行して流れているよう。
フランス革命以来、だれも、無邪気な年代なんて信じていませんのよ。そんなのは流行おくれですわ」
子どものときには頭に残らなかったけど、マリアのこの言葉、フランス革命後の理性と啓蒙の時代のことを指しているのかしらん。「子ども」の「無垢」についてこの時代はどういう捉え方だったのかしらん。ともかくマリアの側では「文明」化されていない状態に見えたのだろう。
もう一つ、庭に廃虚趣味のというか、本物の廃虚があったとも書いてあった。もうすっかり忘れてしまったけど、学生時代に「庭」や「風景」の歴史の本も読んだなぁ。もう本当にすっかり忘れてしまった。