終わりはやっぱり始まり

旅人タラン (児童図書館・文学の部屋 プリデイン物語 4)

旅人タラン (児童図書館・文学の部屋 プリデイン物語 4)

前作で主人公が王家の血を引くものと引かないものの差異を自覚したのを、果たしてアメリカ人の作家はどうやって解決するんだろうと思っていたら、やはり旅人タラン (児童図書館・文学の部屋 プリデイン物語 4)は自分のルーツ探しがテーマだった。
何となくパワー (西のはての年代記 3)を思い出してしまった。自分の肉親と言う人と巡り会ったあたりの居心地の悪さなんか、ちょっと似ているかもしれない。そしてみんなが求めていて、タランが探し出すべき宝のことが何度も何度も出てくる、それはやっぱり最終的にはガーギが見つけてくれることになる。

最終作はやはり、「二つの塔」とか「さいごの戦い」を思い出させるような総力戦だった。でも、やはりこの二作でもタランが剣の力を頼みにしないところが現代的なのかもしれないと思う。
神話なら神々の時代から人間の時代への転換になるんだろうけど、タランの場合は王の血筋の時代から民衆の時代への転換という書かれ方をしている気がした。

まぁ、ともかく予想以上に面白くて登場人物に愛情いっぱい感じられるお話でした。
あんまり最近じゃんじゃん出ているファンタジーものはどうかなぁ、と思っちゃう人には一回読んでみて欲しいと思う。